木村 晴美
翻訳基礎Ⅰ・Ⅱ(日本手話‐書記日本語)を担当します。日本手話と日本語の言語構造の違いを知るために、対照言語学の要素も取り入れます。
手話通訳の養成が専門ですが、目標言語を目標言語で教えるという語学教授法のひとつ「ナチュラルアプローチ」も習得しています。
両親ろうのもとで生まれ育ちましたが、手話は日本語より劣ったものという認識を持っていました。20代の時に渡米した先で、日本語対応手話(日本語を手話の単語を使って表現したもの)と日本手話は異なり、日本手話こそがれっきとした自然言語であるという事実に気づきました。1995年に「ろう者とは、日本手話を話す言語的少数者である」とろう文化宣言を出しました。その宣言を自身のポリシーとして、聴者と共生する社会づくりをライフワークとしています。日本手話やろう文化が社会的に認知されるには、アカデミックな分野での人材育成も重要で、リベラルアーツの大学の使命であると信じています。
【NHK手話ニュースキャスター。1989年日本社会事業大学卒、2014年一橋大学大学院博士課程単位取得退学、社会学修士。著書に『手話通訳者になろう』(2019白水社)、『改訂新版 はじめての手話』(2014生活書院)、『日本手話とろう文化 ~ろう者はストレンジャー~』(2007生活書院)等がある。】